平成30年3月21日(春分の日)恒例の春彼岸法会が執り行われました。「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、彼岸の時期には季節も変わり、お墓参りのしやすい安定した気候になるというのに、当日は寒の戻りを受けて、全国各地で季節外れの積雪が見られ、荒れた天候になりました。当院も雪こそ降りはしなかったが、多くの方々が寒さと強風の中震えながら墓参されておられるのも大変稀らしいことでした。
言うまでもありませんが、彼岸とは悟りの世界を意味し、仏道精進をして彼岸に到るというのですが、そんな難解な教えと思うより、私たちの住む日本に連綿と受継がれてきた伝統的な先祖供養の仏教行事です。
春は花の季節。梅、桃に続き間もなく桜の開花が迫っています。梅は寒いほど香りが強いと云われ、桜も寒さで花の色づきが鮮やかになる。その開き切った花弁の透き通る美は「麗」と呼ぶのが似つかわしいと玄侑和尚が『法光』(発行臨済会№246)で述べているが、思いもよらないこの突然の寒気も来週には完全に過ぎ去って、桜は満開、文字通り空は晴れ、日影の明るく穏やかな春の日が、やがて訪れることでしょう。
人々の日常の忙しさもあって神道や仏教など宗教、日本伝統の文化を体験する機会がどんどん減ってきた昨今、彼岸会に出席し、本尊や墓前で回向し、暫し自分に向き合い、安心の時と場所にならんことを願っています。